2023.2.8
皆様が庭を作ろうとしたときに最初にイメージするのは、どんな木や花を植えるかということだと思います。
私も1,000件を超える現場を見て、2,000件を超える図面をひいてきましたが、一本も植木のない庭の経験はありません。
どんなに狭い敷地であっても、ドライガーデンやロックガーデンなどの岩が主体となった外構計画でも、必ず植栽(緑)を計画の中に入れてきました。
植栽の役割とは?
植栽とは、外構に植えられる植木、植物全般のことを指します。よって、みなさまのイメージする「庭」の植物は全て植栽ということになります。しかしながら私は、全てを「植栽」としてひとくくりにするのではなく、各々の役割を持っていると考えます。
少し具体的にご説明していきましょう。
敷地の境界線にある植栽
境界線にある植栽の役割とは、外からの視線をさえぎって家のプライバシーを守るという機能です。
道路や隣地との境界線に高いコンクリート製の塀を設置したことをイメージしてみてください。外からの視界はさえぎることができますが、内側からの景色も当然遮られれます。
ある程度の視線をブロックしながらも風や光を取り入れ、圧迫感もない植栽計画を建てることが、お住まいになられてからの快適さを保ちます。
門、アプローチ、玄関周りの植栽
外からの入り口である門、住まいの入り口である玄関。この2つの入り口を繋ぐのがアプローチです。
お住まいの方は当然毎日通るルートですが、ご家族以外にもご来訪のお客様や郵便局の方、宅急便の方も通るルート。ここに配置される植栽は、通る方々を目で楽しませるという役割があるのではないでしょうか?
人の通れる道を作るというだけでしたらコンクリートで固めてしまえば機能的にはクリアします。しかしながら、そこには四季を感じる色や匂い、おもてなしの心はありません。敷地の外のオフィシャルな空間と建物というプライベートな空間の間に存在し、外の緊張感から中の優しさへと切り替える効果があると思います。門や玄関周りに植栽があることで、優しい雰囲気を演出できます。数種類の季節の花や緑を寄せ植えすれば、より華やかで楽しいアプローチに仕上がります。
私は庭には「お住まいの方が四季を感じる」ことができることが必要だと考えます。もちろん木や花は生物ですから、普段のお手入れは必要となります。私はなるべくお住まいの方の負担にならないように、お手入れが簡単な植栽を中心に選び、お住まいのエリアによっても提案する植栽計画を変えます。例えば、横須賀市や湘南エリアなどの海の近くでは風に強いものや塩の影響を受けにくいものをご提案しています。
【筆者プロフィール】
庭dening代表 小山 健太郎
日本デザイナー学院卒業後、8年間店舗・内装設計の会社に勤め、外構専門店で14年間修業し、庭dening(ニワデニング)を設立。ブティック社発行、エクステリア&ガーデン(外構専門雑誌)にて、現場写真を多数掲載される。現代和風・プロバンス風・モダン・ナチュラル風とスタイルにとらわれず数多くのプランを手掛ける。